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2014年11月11日 (火)

星の子、死への衝動

前回の記事では、「ハウルの動く城」作中で、流れ星が地上に落ちるとすぐに燃え尽きて死んでしまう、という描写を振り返りました。原作では、マルクルが流れ星(星の子)をつかまえようとすると、流れ星が「いけないよ、僕はこのまま死ぬ事になっているんだ」といって逃げてゆきやがて死んでしまう描写があります。流れ星の命は刹那に失われて行く事が示唆されています。

かくして、子供であったハウルは自らの心臓を流れ星に与えることで星の子の命を生きながらえさせ、そのかわり星の子の魔力を操れるようになりました。

さて、作中のある印象的なシーンを振り返ってみましょう。

荒れ地の魔女が国王に招聘されて城に入った際、魔女は城内の居間に通されますが、それは王室付き魔法使いサリマン先生による罠でした。魔女は星の子の影法師に囲まれて魔力を奪われます。

同じようなシーンがもうひとつ、国王に化けたハウルがサリマン先生と対峙した時、サリマン先生の魔力によってハウルも星の子に回りを囲まれて追いつめられます。

とりわけ、ハウルが星の子に囲まれたシーンでは、星の子が歌を歌いながらハウルとソフィの回りを廻りハウルの魔力を封じ込めようとしました。この歌は外国語のような歌声で歌詞は聞き取れませんが、映画製作のイメージボードではこのような内容の歌とされています。

「ほっといて、ほっといて、僕にさわらないで、死にたいのに、死にたいのに」

ハウルや荒れ地の魔女に宿った星の子の魔力を奪い取るために、多くの星の子たちで廻りを囲って歌うことによって、星の子の魂が本来持っている死への衝動を誘い出している、と解釈できます。

この、星の子が手をつないで周囲を囲む様子、何かに似ていますよね。

そう、子供の頃に遊んだ「かごめかごめ」に似ていませんか?

鬼を真ん中にして結界を巡らせる様子は、星の子の魔力を授かった鬼(ハウル・荒れ地の魔女)から魔力を奪い取る様子に相通じるものが感じられます。

次回は、かごめかごめやハウルの星の子にみる「魔力と結界・死と命の循環」という視点と、楽器と音の関係にみる「肉体に宿す魂の刹那性」という視点を絡めて、この「炎の資格」の考察をまとめてみたいと思います。

Magic

Hoshinoko

注1)かごめかごめの意味には諸説あります。

注2)この星の子が歌う歌は長調でも短調でもない不思議な調性を持っています。その半音階で動く旋律は、喜びも悲しみもないニュートラルな世界を表現しているように聞こえ、それは死の暗示であるようにも思えます。一方、「かごめかごめ」の歌は「ラーラーシーラーラソミー」という旋律ですが、この旋律にはラを基音とした場合に音の調性の決め手となるドあるいはド♯が含まれていません。しかしラの5度音となるミの音は含まれています。ラとミの組み合わせは短調でも長調でもない空虚5度と呼ばれる和声であり、それは虚無空間のようなニュートラルな響きであるように感じられます。

コメント

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