汝、星を捕らえし者。心なき男。
そのアニメ映画は「ハウルの動く城」です。
以降、映画のネタバレになりますので、映画をまだ見ていない方はどうぞあしからず。
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魔女の呪いで老婆の姿にされたソフィが町を去り、荒れ地でハウルの動く城に遭遇します。
城の中に入ったソフィが最初に見つけたのは、暖炉の中にうごめく火の悪魔カルシファーでした。
カルシファーの正体は流れ星です。流れ星は地上に落ちるとすぐに燃え尽きて死んでしまいますが、カルシファーが地上に落ちたとき、偶然に子供のころのハウルに出会います。ハウルは自分の心臓を与えてカルシファーの命を生きながらえさせ、その代償にハウルはカルシファーの強い魔力を操れるようになりました。これが、ハウルとカルシファーの間に交わされた秘密の契約でしょう。
作中に「オレ(カルシファー)が死んだらハウルだって死ぬんだぞ!」というセリフがありましたね。カルシファーの炎はハウルの魔力、カルシファーが座する薪はハウルの心臓、薪を燃やす炎は肉体に宿る魂でもある、という隠喩がここに見え隠れします。
「炎の資格」は、薪に焼べられた炎がほとばしるような楽曲です。
ファゴットという頑強な肉体に宿る炎のような響き。それは、音楽が魂を孕む瞬間を体現しているのかもしれません。そして、カルシファーの正体である流れ星がそうであるように、炎は美しく地上に降り注いだ後に儚くその命を燃やし尽くしていきます。
次回は「ハウルの動く城」の中のある印象的なシーンを取り上げて、「炎」とその命の刹那性についてもう少し掘り下げてみましょう。
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